紙の上にぐるぐると。

文房具なんかを中心に、興味のあることをつらつらと。

パイロット エリートS22 古くてもじゅうぶん現役。

最初のレビューにふさわしいのはこれだろう、という一本から。

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ある日実家の古いタンスを整理していて出てきた黒いショート万年筆。多分祖父が使っていたのだと思うけど、ひょっとしたら父だったのかもしれない。空っぽのカートリッジが刺さったそれは軸に大きな傷みや錆もなく、ペン先がまだまだ大丈夫そうだったので、使ってみることにした。

 

これが僕が万年筆にハマるきっかけ…。

 

という素敵な話でもなく、その頃はすでに数本の万年筆を所有していて、正直なところ軽く飽きているころでもあった。そして当時いかにも野暮ったいショート万年筆というのはまったく興味の外であって、知識も全くなかった。ネットで調べると、大橋巨泉の「はっぱフミフミ」で一世を風靡したショート万年筆、エリートSの一バージョンということが判明。しかも使えるコンバータが現行であるというではないか! ペン先を数日水洗いとドブ漬けを繰り返し、CON-20のコンバータを買ってきてインクを吸わせてみると、インクの出も上々。

 

うん、これ使える。

 

ショート軸の万年筆は、胴軸が極端に短くて、首軸とキャップが長く、キャップを閉めているときは掌に収まるくらいの長さだけど、使用時にキャップを尻に挿すと使える長さになる。キャップは嵌合式だけど、パチンとはまるものではなくスッと収まる感じのもの。それは胴軸に挿したときも同じ感覚で、なんか上品。良くできているものだなー、と感心した。ちょっとクリップがカタつくというかずれるのが気になるけど、これは個体の問題なのかな?

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当時のエリートはオークションなんかを見る限りだと14金や18金ペン先がメインで、22金のペン先のものはちょっと珍しいみたいだね。現行の復刻版、エリート95Sは14金だね。22金ということもあって、実に軟らかいペン先の感触。その頃手元にあった他の万年筆とはまったく異質で、最初はなんとなくうまく使いこなせていない感じだったが、あれこれ力加減なんかを工夫していたらこの軟らかさが面白く、病みつきになった。

筆記時にちょっとズズズっとした感触があるペン先はパイロットの特徴なのか、後に所有するパイロットの万年筆に共通の特徴のように思える。

 

これのおかげでちょっと冷めていた万年筆への興味が、国産とか軟らかいペン先といった方向性から再燃していったので、転機となった一本ではあるのかな。

 

オークションだと相場は3,000円前後といったところかな。14金や18金のに比べると極端にタマ数は少ないけど。軟らかいペン先の万年筆を試してみたいなら、こんなのもあるよ、ということで。14金・18金のならもっと手頃で落とせると思うので、CON-20つけて色雫なんかで遊ぶのにもいいと思う。

 

パイロット 万年筆コンバーター CON-20

パイロット 万年筆コンバーター CON-20