紙の上にぐるぐると。

文房具なんかを中心に、興味のあることをつらつらと。

かっこよさも手のひらサイズな万年筆 カヴェコクラシックスポーツ

カヴェコスポーツのシリーズはいわゆる短軸万年筆なのだが、これが見れば見るほど秀逸なかっこよさがある。ポルシェデザインのようなセレブっぽいかっこよさとはまた違う、スポーツという名前が実にしっくりくるかっこよさ。万年筆なのにスポーツというところが若干意味不明なところだけど、スポーツだ。

とはいえカヴェコのラインナップは基本鉄ペンなのでこれまで食指が伸びなかった。しかし最近カヴェコの一部のモデルが修理扱いで金ペン化できるということを知り、俄然興味が湧いてきた。というわけでローエンドのクラシックスポーツに手を出してみた。入手してから知ったのだが、こちらのモデルは金ペン化不可なんだな。まあ、カヴェコはいろいろ複雑なので、そのへんは改めてまとめてみようかな。

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このカヴェコクラシックスポーツ。オールプラの軸にキャップ、スチールのペン先という、よく言えばシンプル、悪く言ってしまえば安っぽい。だけどそのチープさをデザインの良さがうまくまとめ上げている。たぶんアルミや真鍮のモデルなんかだと重さや冷たさなんかがメカメカしい、例えるなら昔のカメラみたいな感じになって、この小ささがもっとしっくりくるのだろう。

 

短軸なのでキャップを閉めた状態だと手のひらサイズ。手持ちの短軸である古いパイロットエリートSと比べてもだいぶ短い。

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キャップを後ろに挿すとそれでもエリートSより短いが、筆記に困るような短さではない。キャップはネジ式、このクラスで嵌合でないというのは珍しいような…、クリップがない(別売)ので、キャップが外れる心配がないというのはひとつの美点。またクリップがないというのはキャップを後ろに挿すときにクリップの位置を考慮しなくていいので、キャップを後ろに挿すのが必須の短軸では機動力の向上に繋がっている。

 

別に注文しているコンバーターが届くのも待ちきれずにインクカートリッジを挿して書いてみると、鉄ペンといえど線幅Mでインクフローもいいので書き味はなかなか。手持ちのカクノに比べると随分紙への当たりが柔らかい。とはいえ一見軟らかそうに思えるけれど手に伝わってくる芯のある硬さは やっぱり鉄ペンだし、書き味も若干粗っぽいと思える部分もある。それでもペン先の出来としてはなかなかだと思う。

ただ、ボディ全体がとにかく軽く、その重さのバランスもなんとなくのっぺりしていてそこにこのペン先。なんだろう、なんか一体感に欠けるというか…。滑らかに走るペン先なのでペンの重さがあれば重さで書ける分むしろ鉄ペンの硬さや粗っぽさを感じないと思うのだけど、軽すぎてペン先で書いている感じだからなのかな。この辺金属軸モデルならもっとしっくり来るのかな、となんとなく想像している。

 

じゃあこのクラシックスポーツ、取るに足りない品かというとそんなことは全くなくて、短軸でこの価格でペン先の出来も鉄ペンではなかなか、好みが合うなら楽しいペンだと思う。何よりこのかっこよさは他にない。ラミーサファリは好みじゃないけど、という人はぜひ検討してほしい。

でも、できるならアルミや真鍮軸のほうがたぶんこのペン先には合っているように思えるし、金ペン化もできる。経年変化の味わいもあって、より長く愛せるんじゃないかな、などと持ってないのに思ってしまうんだな。