紙の上にぐるぐると。

文房具なんかを中心に、興味のあることをつらつらと。

インレイニブの優等生 シェーファー タルガ スターリングシルバー

シェーファーといえばブランドのアイデンティティともいうべきが菱形のインレイニブ。シャープで美しいデザインと、長めの穂先を反らせることで弾力を与えて書き味を柔らかくさせた、唯一無二のペン先だ。

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現行ではPFMやインペリアルの系譜であるレガシーヘリテイジのみがこのインレイニブを採用している。とは言ってもUSA表記がないので海外生産なんだろうな、世知辛いね。

 

タルガの登場は70年代後半。90年代まで生産されていたらしいからなかなかのロングセラーモデルと言っていいだろう。斜陽の時代の屋台骨を支えたモデルであることには間違いない。

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同時代のインペリアルに比べて細身で直線的なボディ、インレイニブのペン先も若干細い。いかにもこの時代のアメリカが考えたエレガンスと言うような、エレガンスというよりなんとなくメカっぽい感じ。長さも太さもそれなりにあり、デザインから感じる印象よりも大柄だね。

 

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スターリングシルバーはインペリアルやパーカーのシズレのような凹凸はなく、手になじむ感じ。嵌合もパチッと心地よく閉まるし、キャップを後ろに挿してもすっと収まり、安定感が高い。インペリアルの嵌合や収まりの悪さから比べたら天と地の差だ。この辺は美点で実に使いやすい。

 

なのだけど、この万年筆はすでに手元にない。線幅はたぶんEFで、舶来品にしては細い線がキチッと書けるのだけど、どうにもカリカリしすぎる書き味で好みに合わなかった。なんというか、反ったペン先が生み出すシェーファー独特の軟らかさを感じることができなかったというか。

書き味Mとかの太めのに出会えるようならまた欲しいとは思うけどね。