紙の上にぐるぐると。

文房具なんかを中心に、興味のあることをつらつらと。

パイロット カスタムヘリテイジ912 メインの一本または特殊ニブを楽しむ一本

パイロットのラインナップで、金ペンの中核をなすシリーズ、カスタム。こちらのさらに中核となるモデルには2桁の数字(創業何年目に発売というのを表す?)に、中級以上では価格帯を示す数字が入る。845は定価5万円、743は3万円、742、912は2万円、74、91は1万円、という具合で非常にわかりやすい。

それぞれ形状やペン先の大きさ、吸入方式など価格帯に応じた特徴があるのだが、パイロットの中核シリーズだけあってザ・スタンダードといった趣でどれもこれぞ日本の万年筆という良質なもの。


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舶来の中級クラスと比べて比較的手を出しやすい2桁と末尾2シリーズは球状のクリップが特徴の、前後が丸いいわゆるバランス型の74と、前後が平らないわゆるベスト型、シルバートリムのヘリテイジ91と選択肢があるのも嬉しい。

 
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手持ちのカスタム74と比較。クラスが違うのでちょっと大きさは異なるが、74と91シリーズのデザインの違いはこんな感じ。同じ黒軸でもカスタムヘリテイジ912のほうがシルバートリムにクリップも落ち着いたデザインでちょっと没個性的な感じではある。

 

カスタムシリーズはペン先の種類が豊富なのも特徴で、2桁でも豊富なラインナップから選ぶことができるが、742と912の末尾2シリーズになるとペン先が大型になって、パイロットが誇る特殊ペン先の数々が選べるようになる。そもそも僕はフォルカン(FA)が使ってみたくてこちらに手を出したわけで。ただ、残念なのが、特殊ニブは黒軸のみというのがねえ、もったいないんだよなあ。

 

というわけで僕のは黒軸のFAニブ。FAニブについては次のエントリでまとめてみようと思うが、まあそのFAニブの癖を抜きにしたら、国産の2万円クラスというのはこれほど素直で使いやすいものなのか、と嘆息するような出来ですわ。シルバーで落ち着いた色合いも、質感も華やかさはないけれど価格なりの"いいもの"な感じはあるし、太さや長さは好みはあるだろうけど、これくらいが万人受けするものなんだろうな。付属のコンバーターCON-70はどうもうまく吸入できなくてそこは残念なんだけど、まあパイロットのコンバーターはいくつかシリーズあるしね。

 

インクは、パイロットなのでフロー良し。インクの出は、綺麗な字が書けるかとかはともかくとして、出が良ければ良いほど気持ちいいものなので、書いていて気持ちがいい。

 

入門にしっかりしたものを、というのなら僕はまず1万円クラスを勧める。それから興味をもって2本目。そんなときに選んで欲しいペンかな。特殊ニブに目が行ってしまいこちらを検討、という僕みたいなパターンも多いと思うだろうし。そこで特殊ニブに行くもよし、普通のペン先選択としても、より本格的なものをというのにもふさわしい一本。とにかくデザインとパイロットの書き味が気に入るなら、カスタム742かカスタムヘリテイジ912は主力に据えて間違いのない、素晴らしい選択だと思うよ。