紙の上にぐるぐると。

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「最初には」買うべきでない万年筆 パーカー ソネット

否定的な物言いになるので、まず最初に言っておくと、僕はソネットが好きで、今も年代の異なる2本を愛用している、でもこれからレビューをしようという上で言っておきたいことがある。そういう視点からということでひとつ。
 
さて本題。
 

ソネットと言えば舶来金ペンでは最廉価クラスに位置している万年筆。

金属軸のずっしりした感じやペン先もきれいで華やかなたたずまいがあって、国産にはない雰囲気を醸し出しているためつい初心者が手を出しやすいのだけど、…待てそれは地雷だ早まるな。
 

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悪いこと言わない、ソネットは一本目に手を出すべきものじゃない。
 
というのは、とにかく扱いづらいんだ、これ。
 
  • キャップ先端の穴のおかげでとにかく乾く
  • 首軸先端で嵌合するのだけど、そこがインクで汚れる
この2点がほんともうね…。キャップの穴はパーカーの万年筆に共通する特徴だけど、せめてデュオフォールドみたいにクリップの裏側とかについてるなら、クリップで留めているときには穴は塞がるけど、ソネットはそうじゃない。天冠にうまい具合に空気の通り道ができてやがる。
なので朝キャップあけてペン先を紙に置くとすぐインクが乗って、というわけにはいかないことが多い。数週間もするとインクがどうも濃い。顔料インクは怖くて使えない。
 
それとキャップの嵌合部分の構造も微妙で、首軸先端の金属のリングが噛むんだけど、そこやキャップ内部にインクが飛びやすいんだ。
これは個体差やインクとの相性もあるんだろう。ソネットは3本使ってきたけど、もう手放しちゃった最初に使ってたのはとにかくこれがひどかった。
今使っている2本はそうでもないんだけどね。
 
言ってみれば、毎日使ってとせがんでくるようなペンなんだな。たまにちょっと使うくらいだとすぐヘソ曲げる。
気持ち良く使うには試行錯誤が必要で、それがわかって受け入れられるなら、いいペンなんだよ。だから、初心者がうかつに手を出すと万年筆って使いづらいなあ、となる可能性が高いと思うんだ。
 
けどね、そういうところを除くと、書き心地は現行のは素直で舶来ものにしては日本語筆記にもいいし、初期モデルの軟らかい書き心地はほんと素晴らしい。幅広いラインナップがあってジュエリー要素の高いモデルなんかは所有感も高い、ちゃんと付き合うにはとてもいいペンなんだ。
 
だからね、できればソネットに手を出すなら、もう少し扱いやすいものを使ってみてからにしたほうが、お互い幸せなんじゃないかと思うんだな。